好き嫌いがはっきりと出やすい、納豆のあの独特なネバネバの成分は、ナットウキナーゼという酵素です。大豆や納豆や豆腐を始めとするその加工食品は健康食品として、世界的にも知られていますが、ナットウキナーゼは納豆からしか作られないということがわかっています。

今この成分が注目を集めています。それは、この酵素に血栓を溶かす作用があるということがわかったからです。血栓とは血管内部にできる血の塊のことで、血管の壁に張り付いて少しずつ大きくなっていき、やがて以下のような命に関わる疾患を発症させる元になります。
  • 高血圧症
  • 動脈硬化症
  • 心筋梗塞、狭心症
  • 脳梗塞
血栓が原因で起こる病気のことを「血栓症」あるいは「血栓性疾患」と呼んでいます。血栓は血の巡りを悪くして深刻なダメージを体に与えるため、十分なケアが必要です。
ここでは、重篤なダメージを当たるこの血栓を溶かす事ができるナットウキナーゼについて説明していきます。

話題の新健康成分ナットウキナーゼについて

納豆

今注目されているナットウキナーゼは、日本の朝の食卓に欠かせない「納豆」から抽出される酵素の一種です。須見洋行博士によって発見、命名されました。大豆食品や豆腐や納豆に代表される大豆加工食品はもともと健康食として認知されてきましたが、ナットウキナーゼは納豆からしか抽出されません。これは納豆の製造方法に秘密が秘められていると考えられています。
納豆は煮た大豆に「納豆菌」を混ぜて付着させ発酵させて作られます。ナットウキナーゼは、この「納豆菌」が作り出すのではないかと考えられています。
現在ナットウキナーゼには血栓溶解効果血液をサラサラする効果が確認されています。。また、抗リン脂質抗体症候群による流産を防止するための治療などで知られているアスピリン療法の用いる代替医療品としての効果も確認されています。
このことから、今、ナットウキナーゼは医療の世界では大変注目されている成分なのです。
また最近の研究ではアルツハイマーの発症に関連しているというアミロイド繊維を変性させる効果があることも解明されています。

案外しられていない血栓の怖さ。血栓は万病の元

ナットウキナーゼが大きくクローズアップされるようになった理由の一つが「血栓溶解効果」があるからです。では、この「血栓」聞いて何を思い浮かべますか?血栓について、正しく理解している方は実はそんなに多くないのが現状でしょう。ですから、まずはこの「血栓」とは何かを説明していきたいと思います。
血栓(けっせん)は血管内部に出来る“血の塊”のことです。ほとんどの血栓はLDLコレステロールが活性酸素と結合することで出来る「酸化LDL」が元になってできています。
LDLコレステロールは主に動物性の脂質のことで、代表的なものがラードや牛脂やバターです。この三つの脂肪の共通点としてみられるのは常温(25度前後)では個体であるということです。人の深部体温はだいたい37度〜38度の間なので、この状態では緩めのゲル状もしくは液体として存在します。
食事として摂取したLDLコレステロールは小腸から吸収され、血液中に溶け込み様々な物質の原料として消費されます。ところが何らかの原因で血液中に大量に作られた「活性酸素」が存在するとLDLコレステロールと結合し、「酸化LDL」となります。
びっくりするネコ
コレステロールには酸化すると固まる性質がありますが、専用のケースで保存せずに外に出しっぱなしにしてあるバターは本来の薄いクリーム色ではなくて、黄色く変色してしまい、触ると硬くなっているのを見かけたことがあると思いますが、酸化LDLはまさにこの変色し、硬くなった状態のことです。これと同じことが血管内で起こっているということです。そう考えるとちょっと怖いですね。
ただ、血液内で生じた血栓はカチカチに固まっているのではなく、ゼリー状に固まっているといった方が正確です。これは血栓が水分の多い血液の中にあるからです。酸化LDLと結合するときに血水分が少ない室内に放置されるから水分を含まずに硬くなってしまうのです。
また血栓となる段階で血液中の凝固成分であるフィブリンを取り込み、血管の内壁に取り付きながら大きく成長していきます。
そして血管壁に生じた血栓が成長を続けた結果、瘤のようになり血液の通り道を細くして血流を妨げます。この状態が「高血圧症」や「血栓症」と呼ばれる疾患になります。
「高血圧症」と「血栓症」の違いについて、ここで説明しておきます。さまざまなことが原因となって血管の内圧が上がってしまうのが「高血圧症」です。実は、「血栓症」も高血圧症の原因の一つになりえます。
ちなみに、血栓以外にも血管の内圧を上昇させる原因には次のようなことがあげられます。
  • ストレス(血管を収縮させる作用があります)
  • 動脈硬化症(血管壁が劣化することで肥厚し、内圧が高まります)
  • 血糖値の上昇(血中のぶどう糖の濃度。血液中にぶどう糖が増えて血液の粘度が高まることで血管内の圧力が高まり血圧が上昇します)
  • 自律神経の乱れ
  • ホルモンバランスの乱れ
  • 便秘
  • 妊娠
  • 感染症
  • 運動(心拍数が上がることで血流が増し一時的に血圧が上昇します)
  • ガンや良性腫瘍(腫瘍が血管を圧迫し血圧が上昇します)
つまり「血栓症」は高血圧を引き起こす原因疾患の一つであり密接な関連性があるということです。
では、「血栓症」と呼ばれる疾患には具体的にどんな種類があるのかを見ていきます。
黒板の前に立つネコ

血栓性動脈硬化症

血管の中で、血栓が付着する部分は、血管細胞自身がとても劣化しやすく部分的な動脈硬化症を引き起こすことがあります。

心筋梗塞、狭心症

どちらも冠動脈という重要な血管に血栓ができ激しい胸痛や呼吸不全を起こす疾患です。
この二つを総合して「虚血性心疾患」と呼んでいますが、心筋梗塞になると冠動脈が高度な閉塞を起こし心筋が壊死し始めている状態なのでより重症度は高くなります。

脳梗塞

脳血管に血栓ができ狭窄を生じて脳に十分な酸素と栄養素が行き渡らなくなることで機能不全を起こす病気です。
日本人の死亡原因のトップ3常連の極めて重症度が高い疾患と言えます。

下肢静脈血栓症

腰付近から下の太い静脈に血栓ができ、下半身に十分な血液が行き渡らなくなる病気です。
しびれや冷感、末端冷え性などが主な症状ですが、進行すると下半身麻痺や壊死などを起こす重症度の高い病気です。

動静脈瘤

動脈や静脈に血栓が大きく育った瘤が生じ、血流が阻害され様々な健康被害を起こす病気です。最悪の場合、血管が裂けてしまいます。血管が避けてしまった場合は「解離性動静脈瘤」といいます。大変重篤な症状で、ショック状態となって死に至る危険性があります。血管が破れた直後であれば、手術によって助かる可能性があります。

エコノミークラス症候群

狭い空間に長くとどまって同じ姿勢をとることで下肢に血栓が生じ、次に動いた拍子に血流にのって肺動脈まで血栓が移動し、そこで詰まりを起こしてショック状態となり意識消失や呼吸不全、心不全を発症する命に関わる重症度の高い疾患です。
出張や旅行などでエコノミークラスを利用する人が増えるに伴い患者数が急増している疾患なので、このような名前が付いたのですが、それ以外でも、長時間座りっぱなしや立ちっぱなしの仕事に従事している人も比較的かかり易いのですが、予防によって避けられる疾患でもあります。なお、下肢に血栓ができる目安は、だいたい6時間程度と言われています。
注意をするお医者さん
ここまでご説明してきたように、「血栓症」が直接死因となる病気がいくつもあります。
近年の日本人の死亡原因第1位は「ガン」ですが、それ以外にも上位には「脳梗塞」「虚血性心疾患」などがあげられますが、「エコノミークラス症候群」も近年患者数が急増しているので、血栓症が関係している病気をまとめるとガンを超えているという統計すらあります。そのことを考え合わせると「血栓症」は決して無視できない疾患であるということです。

なぜ血栓は出来てしまうのか?そのメカニズムとは

前述しましたが、ここでもう一度「血栓」ができてしまうプロセスについてもう少し詳しく説明していきましょう。
血栓ができる主な原因は「LDL(悪玉)コレステロール」と「活性酸素」ですが、形成される過程には次のようなパターンがあります。
  • パターン1
  • 血液内皮にプラークができて酸化するパターン

  • パターン2
  • 血管が傷つき修復される過程で「しつこい」血栓ができてしまうパターン

以下でそれぞれのパターンをフローにしてみます。

パターン1の場合

  1. 食べ過ぎや運動不足によって血液中のLDL(悪玉)コレステロールの値が増える
  2. LDLコレステロールが血管の内皮に入り込んでくる
  3. 血管内皮に侵入してきたLDLコレステロールを白血球(マクロファージ)が異物とみなし攻撃を加える
  4. 白血球の攻撃によって活動を停止したLDLコレステロールが固まりとなり血管にこびりつく
  5. このLDLコレステロールのいわば“死骸”がプラークとなり、血栓の元になる
  6. 今度はプラークに活性酸素が作用して酸化する
  7. プラークに新たなブラークや血小板、フィブリン、LDLコレステロールなどが次々と取り付き血栓が大きくなる

パターン2の場合

  1. 血管が傷つく(微量な内出血は珍しいことではありません)
  2. 血管を修復するために破損部に血液を凝固させる成分である血小板やフィブリンが取り付き、傷を塞ぐ
  3. この時、フィブリンの固まりが出来て血管が完全にふさがるまで保護する
  4. 通常なら血管が完全にふさがった時点でプラスミンというフィブリンを溶かす作用がある物質が作用し、フィブリン性の血栓を溶かす
  5. しかし、血流障害や自律神経の異常などの理由でプラスミンの分泌が正常通りにいかないと、いつまでも残っているフィブリン性血栓に血液中のLDLコレステロールや活性酸素と結合した酸化LDL、血液中のほかのフィブリン、血小板などが次々と取り付いていき、大きな血栓へと成長していく
青ざめるウサギ
これらパターン1、2以外にも、血栓ができる幾つかのパターンがありますが、調査の結果、多いのはこの二つのパターンです。ただし、この2つでもその違いは、血栓ができ始めるきっかけが違うだけで、それ以外のプロセスで、できた血栓が大きくなっていくプロセスは同じです。
そして2つのパターンを見てもわかる通り「LDLコレステロール」と「活性酸素」量のコントロールが血栓を予防するためには非常に重要なポイントです。
また、ここで注意したいことが血栓の元であるLDLコレステロールと活性酸素が体内に発生する原因にも着目するべきということです。
LDLコレステロールは過食や運動不足が主な原因ですし、活性酸素はストレスによって体内に多く発生します。
この2つがそろって血栓ができると考えれば、いわゆるメタボな人でも毎日ストレスなく生活している人は血栓ができ難いし、痩せ型の全くメタボではない人であっても毎日ストレスフルな環境で生活していると血栓ができ易いのです。

ナットウキナーゼの効能とは?

さて、前述のとおり、ナットウキナーゼは血栓を溶かす力あるいうことを説明してきましたが、ではどれだけの効果があるのでしょうか。ここではそれについて考えて行きましょう。「血栓を溶かす」のにもさまざまパターンがあります。
頭に?を浮かべるウサギ

フィブリンを溶かす作用

前述しましたが、フィブリンは血栓の主成分とも言える物質です。LDLコレステロールを活性酸素が変性させた「酸化LDL」が原因となってできる血栓を大きくするのがフィブリンです。
フィブリンは別名「フィブリンのり」といわれるように血液を凝固させる力が強いのです。

プロウロキナーゼを活性化させる作用

血栓溶解酵素ウロキナーゼの前駆体がプロウロキナーゼです。これが活性化することで血栓溶解成分がたくさん作られることになります。

プラスミノーゲンアクチベーターの量を増やす作用

もう一つの血栓溶解酵素プラスミンを作り出す組織がプラスミノーゲンアクチベーターです。
いわば血栓溶解酵素の製造工場のようなものですが、これが増えることでプラスミンの産生能力が上がるのです。

PAI-1を分解する作用

血栓溶解成分の働きを鈍らせるのがPAI-1と呼ばれる物質です。この物質を分解することで血栓溶解成分の作用が促進されます。
上記のようにナットウキナーゼは血栓を溶かすために色々な方向から働きかけをするということです。

ナットウキナーゼは本当に健康成分なのか?デメリットは?

ここまで血栓を溶かすことにのみフォーカスをあててみてきました。できたら困る血栓なので溶かすことばかり考えきました。
しかし、まるでできないと今度は止血ができなくなってしまい、ちょっとした怪我でも血が止まらずに失血死なんてこともあり得ます。問題は血栓ができすぎてしまうことで、血栓を作り出す物質と溶かす物質とのバランスが絶妙な状態で維持されているのが、本来は理想的なのです。
では、ナットウキナーゼだけを過剰摂取した場合はどうなるでしょう?血栓は溶解されることになりますが、血が固まらないいわゆる「溶血」や「貧血」に対するリスクについては、これまであまり研究されていないのです。
食品としての納豆にはナットウキナーゼ以外にも血液を凝固させるのを促進させる成分「ビタミンK2」が含まれていて、溶解作用と凝固作用がバランス良く働くようになっています。
ナットウキナーゼからはビタミンK2が除去されているので、血栓溶解作用だけがクローズアップされることになります。
困り顔の女医さん
また、ナットウキナーゼのできてしまった血栓を溶解する作用については研究が進んでいますが、血栓を予防するという作用については十分に検証されていません。さらに、血栓をどこまで溶かすのかについても臨床的な検証は不十分なのです。
つまり、はがれた血栓が完全に溶解されなければ、“残った血栓のカスが脳血管に詰まると脳梗塞を起こすことになりますし、冠動脈に詰まれば不安定狭心症や心筋梗塞を招く”原因になることがあるということです。
また、もしも完全に溶解してしまうほどの強い力があれば、血液中の他の成分について悪影響が生じる可能性も否定できないのですが、それについても研究はまださほど進んでいません。
もし現在、血栓ができてしまっていることがわかっているならば、サプリメントなどで血栓を溶かすことを考える前に、エコノミークラス症候群や脳梗塞のような重篤な疾患を発症する可能性が大変大きいので、まずは医療機関で治療を受けてください

まとめ

血栓症は本当に怖い病気です。一歩間違えれば死ぬ危険性がありますし実際に死亡例も多数ありますので、まずは病院で検査してみましょう。

「下肢静脈瘤 外来」などのキーワードでyahooやgoogleで検索してみてください。あなたの街にも血栓症を専門に見てくれる病院が見つかるかも知れません。

とはいえ、血栓症で死亡するケースはそれほど多くありませんし、ご自身の症状が軽そうなのであれば、ナットウキナーゼをサプリなど摂取して予防するのも一つの手段です。

医療研究者として色々調べてみましたが、「納豆博士」というサプリが16年連続のロングセラー商品のようなので、もし良かったら試してみてください。